― 食の未来へ、私たちができること ―『MEET UP CHUBU』vol.77 参加レポート
2026年1月に開催された「MEET UP CHUBU vol.77」に参加し、
食をテーマにした技術や取り組みについてお話を聞かせていただきました。
本イベントを通して強く感じたのは、技術は完成した製品そのものだけでなく、
「それを生み出す過程」や「使われ方」を見直すことで、より大きな価値を生み出せるということです。
食料自給率の低下や気候変動といった社会課題に対し、企業が自らの技術をどう結びつけているのか。
その姿勢から、ソフトITエンジニアとしての視点も大きく揺さぶられました。
1.イベント参加のきっかけ
今回イベントに参加したきっかけは、「食」という分野にどのような課題があり、
それに対して機械設計やソフトITを主とするアメディアが、どのような形で貢献できるのかを知りたいと考えたことでした。
また個人的な課題として、これまで社内SEとしてホームページ改善や研修担当といった業務に携わってきましたが、
今年は「社外に目を向け、世の中にはどのような課題やニーズがあるのかを知りたい」という考えがあり、
社外の方との交流の場を探しておりました。
そして本イベントがアメディア本社のそばで開催されるイベントであったこともあり、その第一歩として参加しました。
MEET UP CHUBUは、
共同研究や新事業展開に向けたオープンイノベーション(協業先の探索)を目的としたイベントプラットフォームです。
毎月さまざまなテーマで、技術や課題を持つ企業が登壇し、参加者との交流が行われています。
(引用:MEETUP CHUBU 公式サイト)
食分野はこれまでアメディアが直接携わってこなかった領域でもあるため、新たな視点や発見の獲得も目的でした。
2.見学で感じた技術の価値
2-1.製品としての技術:薄く、軽い電池の可能性
イベント前半の会場見学の中で、一つ目に極めて薄く、軽量な二次電池を実際に見せていただきました。
実際に目にして触れてみると、指先に乗るほど薄く、非常に軽量であることに驚かされました。
この電池は、素材の特性を最大限に活かすことで、
長期間の使用やメンテナンス性の向上を実現しているとのことでした。
軽量で薄いという特徴は、身に着ける機器や小型デバイスなど
用途の幅を大きく広げる可能性を感じさせます。
推し活用のライトへの応用例なども紹介され、軽くて長期間使える電池は、
発想次第で多様な用途に展開できることが伝わってきました。
私は専門分野ではありませんが、研修で組み込みプログラミングに触れた経験もあり
「こうした電池があれば、どんな仕組みが作れるだろう」と考えること自体が面白く、
様々な可能性が開けたように感じました。
また、リチウムイオン二次電池の市場は今後さらに拡大すると予測されており
ウェアラブル端末やIoT機器の増加とともに、
小型・軽量・メンテナンスフリーな電池の重要性は高まっていくと感じます。
太陽光発電と組み合わせることで、より持続的に使える仕組みも想像できました。
2-2.工程としての技術:作り方そのものを変える
特に印象的だったのは、セラミックを焼成する炉そのものにもセラミック技術が使われている点です。
かつてレンガ窯だったものを、セラミックファイバーを全面採用した構造に変えることで、
放熱ロスを大きく減らしたと説明していただきました。
製品を作って社会に貢献するだけでなく、その製品を生み出す工程自体を改善する。
技術を「アウトプット」だけでなく「プロセス」にも使う姿勢に、大きな学びがありました。
ソフトウェア開発でも、同じ動作をするものであっても、
内部構造が優れていれば不具合が減り、保守や機能追加が容易になることがあります。
同じ成果物であっても、その過程を磨くことで、製品の価値は大きく変わるのだと再認識しました。
3.食の課題に対する認識の変化
3-1.食を取り巻く現状
イベント後半では、さまざまな企業から、食の課題に対する取り組みが紹介されました。
日本の食料自給率が低いことや、将来的な食糧不足の懸念について、知識として知っていたものの、
改めて数字として示されると、その深刻さを実感します。
現在の日本の食料自給率は、カロリーベースで38%とされています。(参考:食料自給率とは/農林水産省)
さらに、気候変動の影響により、漁業にも大きな変化が生じており、
サンマやサケ、スルメイカの漁獲量は、この10年ほどで大きく減少しています。
(参考:農林水産分野における気候変動への適応に関する取組 令和7年2月農林水産省)
安定した食料供給を維持するためには、従来とは異なるアプローチが必要であることが強く伝わってきました。
3-2.CO₂を資源として使う温室栽培の取り組み
食問題への取り組みの一つとして、産業分野で排出されたCO₂を活用した温室栽培が紹介されました。
食料生産という課題だけでなく、カーボンニュートラルという環境課題にも
同時に向き合う技術であり、とても印象的でした。
CO₂削減というと、森林への植樹などを思い浮かべがちですが、
植物が光合成を行う以上、農業分野でも直接的にCO₂削減に貢献できる。
「食」と「環境」を切り分けず、一つの技術で両立させようとする姿勢が新鮮でした。
3-3.水質制御による陸上養殖の取り組み
また別企業からは、水質を高度に制御することで
陸上養殖の課題を解決しようとする新しいアプローチについても紹介されました。
もともと別分野で使われていた技術を応用している点も興味深く、
技術の転用による可能性を感じました。
近年、環境変化の影響で天然魚の漁獲量が不安定になっている中、
安定して魚を供給できる養殖の重要性は高まっています。
さらに、水質が向上することで味も良くなり
「養殖魚は味がいまいち」という固定観念を覆す可能性があると感じました。
量だけでなく、品質やブランド価値まで含めて考えられている点に、
持続可能な養殖の姿が見えました。
3-4.共通して感じたこと
どの企業にも共通していたのは、食の問題解決だけでなく、
環境問題や企業としての利益(コスト削減、生産性向上、品質向上)までを同時に見据えている点です。
「良いアイデアは、一つでたくさんの問題を解決するものだ」という言葉があります。(出典:アイデアというのは何か?)
これはマリオを生み出した宮本茂氏の言葉で、初めてこの言葉を聞いたときに
「そうはいっても、複数のことを同時に解決するアイデアなんてそうそう思いつくものじゃない」と考えていました。
しかし、今回のイベントで発表された企業の方たちは、
どなたも食という問題に立ち向かう技術を企業としての利益を生み出す力としても利用していました。
企業として利益を生むことと、社会問題への貢献は相反するものとして語られがちだと考えていましたが、
素晴らしい技術、それを生かすアイデアがあれば、その二つを両立させることができることを実感できたのが
今回のイベントでの一番の学びだったと考えております。
4.ソフトITエンジニアとして考えたこと(まとめ)
今回のイベントを通して、今でもソフトITエンジニアとして何ができるのかを考え続けています。
食という分野と私たちアメディアが普段取り組んでいる分野をすぐに直接結びつけるのは簡単ではありませんが、
「課題に対して自分たちの技術をどう使えるか」を考える視点を得られたことは大きな収穫でした。
イベント後、改めて登壇企業の取り組みについて調査したところ、
魚の様子をモニタリングし、データを蓄積していることが紹介されていました。
農業分野でも同様に、環境や作物に関するデータは蓄積されているはずです。
それらを分かりやすく可視化・分析するツールを提供することで、
より効率的な農業栽培の手助けができるかもしれません。
技術そのものを作るだけでなく、技術が生かされる「過程」や「使われ方」に目を向ける。
今回のMEET UP CHUBUは、
技術を社会やビジネスにつなげるための視点を改めて考えるきっかけとなりました。
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